クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


射的コーナーは、一度で4人のお客さんが使える仕様らしいけれど、他にもお客さんがいて残りのふたつも埋まっているので、

私と翼くんは少し離れた斜め後ろからみんなのことを眺める。


悔しいけれど、早凪くんの銃を持つ姿は、思わず見惚れちゃうくらいカッコよくて。


横顔があんまりにも綺麗だ。


浴衣から伸びる腕も、首筋も。


いちいちドキドキしてしまって。



───バンッ


「わーっ!!ほら!!早凪命中させた!すごいすごいっ!!」


莉々ちゃんのその声が聞こえて、再び現実へと引き戻された。


早凪くんは、私のものなんかじゃないんだ。


「ゆるちゃん、俺たちとなりのやってみようよ」


「えっ……」


みんなに声援を送っていた翼くんの突然の提案に戸惑いながらも、さりげなく掴まれた手首を引かれたまま、自然にとなりのお店へと足が動く。


きっと、その場から離れたかったから。


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