クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「翼くん、これありがとうっ!このキャラクターすごく好きだから嬉しいっ。ほんと、上手だったね。初めてとは思えないよ!」
私たちがヨーヨー釣りを終えると、タイミングよく早凪くんたちも射的屋さんから出てきて、
みんなで再び歩きだしてから、私は翼くんに改めてお礼を言う。
「へへ、見惚れた?」
「うんっ!とってもかっこよかったよ!」
さっきよりもずいぶんテンションが上がっている自分がいて、
そういえば、最近何だかんだ翼くんに助けてもらってるなと実感する。
「うんって……」
「へ?」
翼くんが小さな声で呟いたけど、人混みのせいもあってよく聞き取れない。
「ううん、なんでもない。俺も楽しかったからよかった!また来ようねっ!次はゆるちゃんも取れるように!」
「うんっ、また来たい!」
そういうと、突然、翼くんの手が私の頬に伸びてきた。
「つ、翼くん?」
「やっと笑った」
「……っ、」
翼くん……ずっと、私のこと心配して?
「よし、みんなどんどん進んでる、置いてかれないようにしなきゃ!」
翼くんは、そう言って私の頬に触れていた手を下ろして、私の手を握った。