クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「あっ……!」
目線の先には、丸っこい黄色のクマのストラップが、そこだけにスポットライトがあってるみたいにくっきりと見えた。
あった!
あった!
あった!
慌てて足を早めて、その場に向かい、そこを歩く人たちに謝りながら、
邪魔にならないようにすぐにしゃがみ、さっとストラップを手にとって。
急いで、道の端の人気のない落ち着ける場所に移動した。
「わ〜よかった〜!」
屋台の灯りを頼りに、ストラップが無事かどうかを確かめる。
幸い、少し汚れた程度で、巾着の中に入れていたハンカチで拭いたら、綺麗になった。
この花火大会で、唯一の思い出。
「ふー」っとホッとして、人混みに目を向ける。
…………やばい。
完全に、はぐれたよね、これ。