クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


バカだ……私ってば。


ストラップをなくしたパニックで、無我夢中で必死に探してこんなところまで来ちゃったけど。


あれだけ翼くんに、はぐれないようにって何度も念を押されたのにこんな風になってしまうなんて。


バカにもほどがあるよ。


今からみんなのところに向かえば間に合う?


いやでも……。


正直、このまま帰った方がみんなにとっても自分にとっても好都合なんじゃないか、なんて考えがよぎる。


だって、早凪くんや莉々ちゃんがいちいちいちゃついているのを見るのは私だってキツくて。


翼くんだって、私のことをしょっちゅう気を使うのも疲れちゃうだろうし。


翼くん、こういうイベント初めてだってすごくワクワクしてたからもっとのびのびと楽しんでほしい。


そうだよ……。そもそも私はメイドという立場。こんなところでふらふら遊んでいいはずがない。


帰ろう、その方が絶対いい。


結局、なにもかも違うんだから。


そう思って、そのまま戻った方向に向かおうと踵を返した瞬間。


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