クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「わ、私が……落し物しちゃって、それ探すのに必死になってたら……はぐれちゃっただけだから」
「なに落としたの」
「……これ」
そういって、黄色のクマのヨーヨーストラップを見せる。
「……は……そんなもののために戻ったわけ?」
「……っ、」
『そんなもののために』
早凪くんのその言葉に、カチンときてしまった。
それだけじゃないんだ。
ずっと。
早凪くんへの一方的な私の勝手な不満も含めて。
「そんなものって何?私の大切なものだよ!翼くんが、とってくれたの。私が取れなかったもの。はじめての花火大会で、はじめてできた思い出のものだよ!それを……そんなものなんて、なんの価値のないものみたいに言わないでよ!」
「……翼?」
私のほうが、早凪くんにずっとムカついてて怒っているのに、早凪くんの方が何故だか眉毛を歪めてイラついたような顔をした。
莉々ちゃんといるときは、いつだって涼しい顔をしているのに。
どうして私とは、そんな顔するのよ。