だから何ですか?Ⅲ
そんな回想の様に触れられた頬に触れてもどかしさに沈む。
いつもの亜豆だった。
何事もなかった様な。
わだかまり何もなく、いつもの感覚で『何をしているんですか?』と俺を呆れたような。
本当に、
「わっかんねぇよ・・・」
ひたすらに複雑な葛藤に満ちていたのは俺ばかりだったのか。
それでも・・・、
『・・・私もですよ』
あれが一番分からない一言だった。
それでもアレは本当に俺の都合のいい幻聴だった?
夢か現実か判断のつかない瞬間に吹き込まれた一言に一喜一憂すら難しい。
相も変わらずあの生き物に振り回されているのだと痛感した瞬間。
「伊万里くんキレてみたら?」
「・・・・あっ?」
俺の複雑な葛藤など他人事。
不意に落とされた言葉には深刻性はなく、とても軽い口調と声音での提案。
どう考えてもおちょくられている様にしか感じられない。と、嫌悪たっぷりに返した表情だけども、捉えた笑みが至って本気で告げている事を理解し緩々と憤りを治めていく。
そんな俺に、フフッと響く三ケ月の笑い声はいつもの物なのにいつもより頼もしく響く。