だから何ですか?Ⅲ
本当に?
でも・・・だって・・・そう言った・・・よな?
それを思い出す為に回想するあの瞬間の記憶には今だ胸が痛んで眉根が寄る。
それでも重要な事だと亜豆が発したままの言葉を思い出そうと躍起になっていれば、それを後押しするように、
「リオは嘘が下手だから。言葉を選んで掻い摘んだ事実しか言わない。発する言葉が偽りでなければ堂々とあれるからね」
「・・・・・」
「リオは・・・あの時まっすぐに何を伊万里君に言ったんだろう?」
三ケ月の声が、言葉が、あの日の記憶の痛みに捕われ惑わされる事から守ってくれている気がする。
いつもは痛みが先走ってまともな感覚で亜豆の言葉を思い返せなかった。
でも今は痛みを引き止められているおかげでいつもよりクリアにそれを捉えて。
あの時・・・亜豆は・・・、
「『傍に・・・いないといけない人がいる』って」
「うん、」
「『大切な人を守りたい』とも言ってた」
「・・・・」
「だから・・・好きな奴が出来たのか?俺が嫌いになったのか?って聞いたら・・・俺を好きだって、」
「全部・・・まっすぐに?」
「全部・・・まっすぐだった」
「ねぇ・・・色々と俺としては気になった点はあるけどさ。その中で一番突っ込みたいところ上げるとね、」
「・・・・」
「『好きな奴が出来たのか?』・・・その問いにリオからは返答はなかったんだ?」
「っ・・・・」
「肯定も否定もなかったんだ?」
「なかっ・・・た・・・」
「つまりは・・・それに関してはどちらを口にするのもリオには都合が悪かったって事だろうね」
確かに・・・
確かに・・・亜豆はその問いかけには何も答えを発しなかった。