だから何ですか?Ⅲ
それにしても・・・今日は寒いな。
早い時間から雨天に身を晒しているせいかもしれない。
元々ぶっ倒れるくらいに体力も衰えているんだから免疫力も低下しているだろう。
微々たる暖取りの様にフードを被って見ていたけれど、これがまた余計に不審者の印象を増している気がする。
ここで煙草の一つでも吸ったらさらに印象は悪くなるだろうか?
そんな事を思っていつの間にか視線を足元に落としていた瞬間。
「っ・・・」
不意に思わぬ力で横から引っ張られ、何だ何だ?と視線を動かせば捉えたのはアイボリー色の傘から伸びる華奢な腕。
そんな腕に捕まり引きずられ建物に向かう人間の波を遡り。
屋根のある玄関口から引き離され傘をさす間もない体に容赦なく雨が打ち広がるも不快感なく真逆に口元は弧を描いた。
そうして建物入り口から離れ、人っ気のない建物の物影に入り込むと同時にパッと離されその姿が振り返ってくる。
さすがに・・・呆れたような眼差しで。
そんな眼差しに怯むことなく、にっこりと笑って見せれば目を細められ。
「一体・・・何をしているんですか?」
「おはよ、」
「・・・おはようございます。挨拶が目的ですか?では、済んだのですからお引き取りください」
言うや否やさらりと立ち去ろうとする姿を簡単に許すはずもなく、今度は自分の手が細腕を掴んで引き止め再び同じ位置に戻しきった。