だから何ですか?Ⅲ
当然うんざりとするような息遣いと眼差しと。
それでも『何ですか?』と言わんばかりの無言の問いかけにクスリと笑って見せる。
「会いにきた」
「じゃあ、会った今は目的達成ですね。おめでとうございます」
これまたすかさず、サクッと動きだそうとする姿に待ったをかけて引き止る。
「本当、何なんですか?仕事なんですけど。伊万里さんも出勤時刻でしょう?何でここにいるんですか?」
「ああ、俺病欠だから」
「・・・非常にぴんぴんして見えますが?」
「いや、俺これでも昨日人生初救急車に乗ったボロボロな病人よ?」
「はっ?・・・っ・・ちょっ、大丈夫なんですか?」
あ・・・・、
本当・・・・亜豆は亜豆だ。
救急車に乗ったと言った瞬間に今までの不愉快顔なんて掻き消して、代わりに浮かんだのは驚愕と焦りに満ちた不安顔。
持っていた傘などお構いなしに投げ出して、俺の顔色や温度を確かめる様に頬に触れてきた両手の感触は恋しかった分強烈に熱を上げにくる。
うん・・・やっぱり・・・好きだ。
好きで・・・・堪らない。
そんな感情が先走った?
思わず至近距離に寄った顔に更に寄せようと試みれば、我に返ったような亜豆に胸を押し返され距離が離れる。