だから何ですか?Ⅲ


見せつけるように?


持っていた携帯の灰皿に吸っていた煙草を名残惜しさも見せずに押し付けた亜豆の姿。


もうおしまいだと突きつけられたような表示と儚く消える煙に哀愁。


そんな俺に『お気をつけて』と念押しの様に帰宅を促す言葉だけを弾き壁から離れ始めた姿に、



「なぁ・・・お前、ここで上手くいってないの?」



ようやく音にして確認した先程の疑問。


その言葉にはピタリと足を止め、迷うことなく振り返ってきた姿は無表情で探るように見つめてくる。


おかしいな。探るつもりで声をかけたのはこちらなのに。



「・・・・・それ、伊万里さんに関係あります?」


「誤魔化したい?」


「・・・・はぁ。少なくとも、大歓迎で好かれてはいないでしょうね」


「何でだ?」


「・・・・・・さぁ?」


「『さぁ』ってお前・・・・」



何か理由がある筈だろうが。と、目を細め、どこか他人事の様に語る亜豆にこちらの方がもどかしいと腕を組むと。



「・・・・・いじめの理由なんていじめる側の価値観との相違だと思いませんか?」


「はっ?」


「・・・・・私は・・・私であるままです。それでも気にくわないという人間の不満の理由なんてわざわざ知ろうとは思わないです」


「・・・・・」



なんだろうな。


よく分からない。


でも、何でか・・・この亜豆に何か懐かしい何かを感じて怪訝に眉根を寄せてしまった。



< 128 / 381 >

この作品をシェア

pagetop