だから何ですか?Ⅲ
自分の何の記憶を掠めたのか。
まったくその形は、記憶は捉えきれないから余計にもどかしい。
もどかしいと思うほど記憶の回想に躍起になるのに、まるでヒントもないそれでは探しようもなく。
そんな間にも再び背を向け歩きだした姿の方に意識を引かれ、慌てて追いかけると隣に並んで歩調を合わせてみた。
「何ですか?会社の前までついてきたらさすがに警備に言いつけますよ?」
「お前っ、酷くね?これでも心配してるっつーのに、」
「心配される意味が分かりません」
「だって、思い当ることもねぇのに不当な言いがかりつけられてるんだろうが?」
「別に思い当らないわけじゃないですけどね。何でそんな言いがかりつけられてるかくらいの理由は分かってます」
「はぁ?言ってる事無茶苦茶じゃねぇか?さっきお前自分の非は思い当らないような事言ってたじゃねぇか」
「・・・・・・」
「黙るなよ、亜豆っ、」
何だか話せば話すほど迷走しそうな会話に徐々にエキサイトして口調が強くなってしまった。
その自覚はある。
まさにそんな瞬間にピタリと歩みを止め、『はぁっ』と息を吐きだした亜豆がこちらを鋭く見つめてくる事に張りあって見つめ返せば。