だから何ですか?Ⅲ
・・・・空回る・・・筈だろ?
「っ・・・・」
言葉に詰まる音が聞こえる気がした。
見つめるのはまた俺の憤りなどまるで介さない無表情の亜豆の姿だろうと。
なのに・・・。
なんで・・・なんでそんな・・・もどかしそうに、苦しそうにその目を揺らしてるんだろう。
何か言いだしそうな唇を噛みしめて、これ以上表情が崩れないようにと必死で堪えている様にも感じて。
そんな姿に憤りが持続するはずもなく、それでもまっすぐに見つめ抜いてくる眼差しは本当は何を思っているのだろうと探るように見つめていた刹那。
「・・・ウチの秘書が何か粗相を?」
「っ____」
そんな声かけは至って紳士的で落ち着き払った物。
同時にトンっと肩に置かれた手に振り返れば捉えたのは上質なスーツに身を包んだ若い男。
若いと言っても俺と大差はなさそうで、ダークブラウンのストレートヘアを綺麗にセットし、その顔は今も周りの意識を引くほどの端整なもの。
浮かべている表情も決して悪意ある物ではなく伺うような低姿勢で口元には小さく弧を浮かべている。
「っ・・・社長、」
【誰であるか】と特定する言葉は亜豆の口から零れて響いた。
ああ、つまりこいつが・・・
高城社長。