だから何ですか?Ⅲ
悪気はないのに。
むしろ気を使ってくれているだけであるのに。
だからこそ、もう大丈夫だとさすがにその場を離れようと体を動かし始め建物に背を向けた。
さすがに今日は帰るべきか。
何故だか亜豆とわだかまり深めてしまったような状態で、再び顔を合わせてもきっと同じことを追及して感情的になりそうだ。
それに・・・体も冷えたしな。
亜豆が言ったようにストーカーをするにも体がまだ万全じゃなかったらしい。
嫌な悪寒を覚えながら軽い会釈を相手に残し一歩程踏み出した刹那。
「帰るのかな?」
「・・・はい、帰りますから。ご心配おかけしました」
「そうか・・・じゃあ、そのまま・・もうここで亜豆を待つのは止めた方がいい」
「・・・・・はい?」
話しながら一歩二歩、三歩目を踏み出していた足はピタリと止まって、決して強くではなかったけれど牽制と言われるような言葉の響きには振り返り、穏やかながらも困ったような笑みを向ける相手を見つめてしまう。
そんな俺にまるで亜豆を捉えるが如く一度建物を振り返った高城が含みありにこちらに視線を戻してきた。