だから何ですか?Ⅲ
「正直・・・亜豆の印象は周囲によろしく思われてない様でね」
「・・・・」
「俺もその事は気がかりで、亜豆本人にも常に気をかけているつもりなんだけどね」
「・・・・だから?」
「だから・・・これ以上・・・亜豆の悪印象に拍車がかかるような事は雇い主としても避けてやりたいし。・・・亜豆が辛い思いをするのは君も不本意なんじゃ?」
そうだろう?と問いかけてくる言葉も表情もどこまでも低姿勢で、こちらの事にも気を使い言葉を選んだ物である。
申し訳ないと眉尻を下げて、柔らかく笑む姿はどこまでも亜豆に対して親身を見せる。
噂通り社員一人一人に温厚誠実で人望の厚い人であるのだろう。
だから、そんな人に反発心疼く俺の方が異色でおかしいと言えるのかもしれない。
反発心はあるのに・・・何も言い返せずに言葉に詰まる。
出来るのは手の届かない場所にいる亜豆を見つめるように建物に視線を動かし、再び高城の同情的な表情を捉えて拳を握ることくらい。
その表情は尚も『分かるだろ?』と訴えてきているような気がして言いようのない苛立ちが募る。
もっともな言い分だ。
確かに俺だって亜豆に辛い思いをさせたくないとかそういう感情は持ち合わせている。
印象の悪い中で毎日不審者の様に会社の前であいつを待っていればさらに変な噂も立ちかねない。