だから何ですか?Ⅲ



そんな瞬間に遠慮がなかったのは雛も同じく。


素肌を晒した瞬間に躊躇いなく伸びた手が俺の腹部をパシパシと叩いてくるから『なんだ?』と視線を向ける。


そんな視線などお構いなしに今も尚確かめる様にぺたぺたと触ってくる姿も未だ下着姿だ。


なんなんだろうな、この何とも言いようのない絵図。



「へぇ、デスクワークの癖に案外腹筋衰えてないのね」


「まぁ・・・暇見つけては軽い運動はしてるしな」


「でも前はもっとくっきり割れてたのに~」


「っ・・・割れ目なぞるな!」


「あ、何?ここくすぐったいんだ?」


「やーめーろー!!馬鹿雛!!痴女か!!」



普通腹筋の割れ目を爪先でなぞられたらくすぐったいし逃げ腰になると思う。


なのにそれを実に悪い笑顔で喜び執拗に繰り返そうとしてくる雛の性質の悪い事といったら。


両手を必死に掴んでそれを拒んでいたけれど、さすがにまだ熱のある体は力負けするらしく、ふらりと後ろによろめくとそのまま廊下に後退し壁に激突。


勿論じゃれついていた雛も引きずられるように俺の体にぶつかって『痛い~』と不満を漏らすから呆れてしまう。


そもそも、お前が馬鹿な事仕掛けた結果だろ。と色々不満も喉元まで浮上してきている。


あー、もう怠いな。


体も状況も全てがままならない葛藤から息を吐き、やれやれと頭を掻きながら視線を動かしたのは何の気なし。


それでも、



「っ____」



えっ?・・・・・・・・あれ?


これは・・・、


幻覚?





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