だから何ですか?Ⅲ
だけど機械はそんな空気を読むことなく?
浸っていたい絶妙な時間を割く様に到着を告げる高い音が響き静かに開き始めるエレベーターの扉。
それに迷いもなく乗り込んで行く姿にはさすがに素早く身を動かして、速攻で閉められ始めた扉に手をかけ押し開いた。
そうして絡むのはさすがに不機嫌そうな亜豆の双眸。
何をしているんだと睨みつけてくる姿にクツリと笑うと、もう限界だと言わんばかりに持っていた鞄で殴りつけられた。
「本当っ、何笑ってるんですか!?」
「フッ・・・」
「ほら、またっ!!」
「フッ、ハハッ、だって、痛っ・・痛いって」
あーあ、中身もばらばらと。
容赦なく何度も鞄で叩く衝撃で綺麗に収まっていた筈の中身が音を立てて床に散らばる。
どうするんだよ?と半笑いで捉えた亜豆の表情は悔しそうで歯痒そうでもどかしそうで。
ダメだ・・・やっぱり、亜豆が好きで堪らない。
亜豆が欲しくて・・・堪らない。
そんな感情から今まで受け流していた行為を阻むように手首を掴んで、そのまま自分も乗り込むと近くの壁に亜豆を寄せた。
階数のボタンは押されておらず扉は閉るも動くことはなく、束の間の密室になった空間に亜豆と自分の息遣いだけが静かに響く。