だから何ですか?Ⅲ
そんな瞬間も束の間、
「っ・・・目の・・・やり場に困る」
「フッ・・・何だよそれ」
ようやく不満顔から言葉が零れたかと思えばそれかよ。
その言葉を示す様にチラリチラリと俺の体に走る視線と不機嫌に混じる羞恥の色味。
そりゃ笑うだろ?
「今更過ぎねぇか?散々この体に縋りついて悶えて善がってたくせに」
「だからこそ余計にですよ!余計にそういう記憶が生々しく回想されて困るんです!!」
「へぇ・・・回想してんの?じゃあ今・・・この中厭らしい記憶でいっぱいなんだ?」
「っ・・・」
『この中』と言いながらそっと唇を頭に寄せると、瞬時に息を飲むような音が鼓膜を擽って、羞恥を堪えるように、隠す様に僅かに俯いた顔の向き。
おいおい、お嬢さん?
本当に気が付いてないのか?
これ以上ないってくらいに煽りをかけている自分の反応に。
そんな煽りに馬鹿正直・・・。
「っ・・・・・食いてぇ」
「っ・・・どの口がそういう事言いますか!?」
「・・・・この口、」
浮上したままに疼いた欲求を口にすれば、当然この流れに至った理由もあって『ふざけるな』と顔をしかめる亜豆がいる。
そんな反応にお構いなしに顔を寄せてはみるけれど、すかさず背けられて重ならなかった唇が虚しく弧を描いた。