だから何ですか?Ⅲ
決して強くない力の腕の中でまるでかっちりと拘束されているかのように身動き一つしない亜豆の細身。
それを良しとして首筋に口づけてもいいだろうか?
独占欲を刻んでもいいだろうか?
好きだと耳元で囁き、唇を塞いで呼吸を貪ってもいいだろうか?
そんな欲求が疼くも疼くまま。
残念・・・ちょっと・・・そんな余裕がないかもしれない。
さすがに自分本体の電池切れだと震える身体で理解する。
ぼんやりとする、横になりたい。
そんな感覚で抱き締めていた筈の力は縋りつく様な物に切り替わり、それに鋭く気が付いた亜豆がさすがに冷静になって俺の体に手をまわした。
「悪い・・・・部屋・・送って、・・・雛が・・姉貴・・いるから」
「姉貴・・って・・・」
「・・・フッ・・誤解と嫉妬・・・それで・・解ける?」
ようやくさっきの場面や雛の存在理由を理解したらしい亜豆が目を丸くして俺を見つめ、そんな表情に弱々しくも少し意地悪を混ぜて笑って見せればムゥっと目を細め返して、
「【誤解は】解けました」
「フ・・フフ・・・なんだそれ・・・嫉妬は・・健在か」
「言ったでしょう?・・・私以外の全てが嫉妬対象だって」
「・・・・・恋人でもない癖に?」
「っ・・・・」
「仕返し・・な」
これで相子だと驚愕を見せた亜豆の額をトンっと指先で押して、軽いやり取りで流す事で昼間の事は気にするなと暗に示す。