だから何ですか?Ⅲ
こうなってしまえば早く水を寄越せとばかりに亜豆に手を差し出したのに。
ペットボトルを手にした亜豆がそんな俺を眺め何を思ったのか、蓋を開けると俺の水を求めた手など丸無視で自分の口にそれを運んだから『はっ?』と声を漏らしてしまった。
「お前、どんな新手のいやが・・んんっ___」
嫌がらせ・・・・
じゃ、なかった。
喉を伝う水が冷たくて美味い。
でもそれ以上に・・・・・久しぶりと言える亜豆の唇の感触が極上。
そこから発生するアルコール作用もありそうな甘味にクラリと逆上せて更に発熱した気がする。
依存する。
そんな意識の俺などお構いなし。
さっきの薬にしても今のこれにしても、さらりと煽ってさらりと引いて。
今も目的は果たしたとばかりにスッと引いた唇の感触。
思わず追いかけ重ねたいと思う心とは裏腹に気怠い体が俊敏な行動を低速にさせる。
そして離れてしまった顔の距離で捉える亜豆の何食わぬ無表情はいつだって冷静な物。
その表情が冷静だから故なのか、口の端から僅かに零れ伝う水滴の扇情的な事。
それを拭う指先一つでさえも。