だから何ですか?Ⅲ


まるで自分には無縁で記憶にもない相手であるというのに、何故か俺の行く手を阻んで目の前に飛び出してきた相手は確かに俺を目的として対峙してきている。


なんだ?


こんな昼間っからカツアゲか?


面倒くせぇな。


そんな事を思って眉根を寄せた刹那、



「伊万里さん?」


「っ・・・!?」


「ああ、【伊万里】さんだね?」



突発的な金銭目的のチンピラだと思っていた。


なのに、にやついた口元から零れたのは紛れもない自分の名前で、一瞬自分が忘れているだけの顔見知りなのかと相手を再確認したほど。


それでも・・・、

やっぱり知らねぇぞ。


どう見直そうが自分との接点は見つからない。


なのに人間違いだと切り抜けられない場の流れに、只々相手の次の反応を伺って意識を集中していれば。



「っ_____!?」



これまた予想外。


目の前の男に意識の集中を置いていれば不意に背後から強引な力に振り回されて近くの細路地に連れ込まれた。



「はぁっ!!?」



と、戸惑いの声を上げ背後からの明らかに敵意しか感じない力を振り切ろうとすれば、次の瞬間には頬に強烈な一撃を食らって地面に崩れた。


さすがにいきなり殴られるとまで思っていなかったから歯を食いしばり忘れた。


鈍い痛みが頬に走って目が眩む。


さすがに意識を失うなんて軟さはないけれど、ヒリヒリと痛む口の端は切れていそうだし口の中も鉄っぽい味や匂いが充満する。


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