だから何ですか?Ⅲ
♧♧♧♧
これで一通り馴染みに挨拶は交わしたし、主催にも印象良く義理は果たした筈だ。
有名ホテルの大宴会場の貸し切りで行われたパーティーはウチも何度か仕事を請け負った大手企業の社長就任式。
次期社長のお披露目会ともあって、各社様々お偉いさんの集まりときている。
その中では自分は若手社長であるが為に年齢層としても浮き気味だ。
でも、まぁ、今回社長に就任したのも俺とどっこい程の若手社長という事になる。
今も遠目に捉える姿は品のいいスーツに身を包み物腰柔らかに挨拶をして回っている。
俺も先程挨拶を終えての今の時間なわけで、後は時間を見て帰るのもいいだろうと持っていた空のグラスをウェイターに渡した。
そうしてぐるりと視線走らせ探すのは同行していた凛生の姿だ。
あいつがこういう場を苦手としているのは理解していて、顔に出さずとも辛そうな雰囲気を感じてどこかで休んでろとその身を離した。
会場の隅にでもいるのか、それとも廊下か。
人の多い会場内では探すのも厄介だと、手っ取り早く消去法でその身を会場の外へと向けて歩きだす。