だから何ですか?Ⅲ
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「珍しいね。亜豆から出向いて来るなんて」
無駄に広い社長室のデスクの前、秘書らしくノックを響かせ声をかけてその場所に歩み寄った。
そんな私をいつだってしらじらしい笑みで出迎え偽りの愛情をひけらかす男を何度殴ってやりたいと思ったのか。
今だってその衝動を必死に堪え、それでも表情には平静を纏って彼に対峙する。
後ろのワイドに広がるガラスの向こうは夕刻の色味に染まっている時間。
その手前の立派なデスクには王様ごっこに興じている高城がにこやかに身を置いている。
実に楽し気に。
そんな姿に感情的にはならず、心を鎮静させるように小さく息を吐くとポケットに手を挿し込んで掴んだ物をスルリと外に抜き出した。
それを高城に分かりやすく見せつければ途端にその目が恍惚と揺れたのが分かる。
USBメモリ。
それだけで中身を理解してメモリと私を交互に確認した姿はどれほど高揚しているものなのか。
「手に入ったのか?」
「・・・・渡す前に・・・聞きたい事があるの」
それが条件だとUSBを持つ手を引っ込めると、慌てるでもなくクツリと笑って見せた姿が余裕をもって椅子の背もたれに身を預けた。
「じゃあ、渡す前にそれが本物だと証明してくれる?そうしたら・・・何でも質問に答えてあげようじゃないか」
結局は高城の思うまま。
そんな要求返しに悔し気に顔をしかめてみせれば、そんな私の姿に嬉々として笑みを浮かべる男は醜悪だ。