だから何ですか?Ⅲ
目先の宝に目が眩んで詰めが甘い。
こんな話を疑いもなしに鵜呑みにする馬鹿者はそっちの方だというのに。
でも、そう仕向けさせたのは私と雨月君だ。
わざわざ時間を使って、自分の幸を手放して、従順に畏怖して見せる事で基盤を固めた。
私が伊万里さんを守る為なら何でもするのだと。
雨月(とも)でさえも裏切れるのだと時間をかける事で深く印象づかせて。
メモリの中身を一度確認させたのも全てこの人の隙を緩める為。
一度チラつかされた輝きには人は冷静な判断を失ってしまう物だから。
そこに今一度私があなたに絶望して屈して見せれば・・・完成だ。
さあ、
どこまでも優越感に満ちてご馳走に手を伸ばせばいい。
「パスワードは?」
ようやく向けられた笑みは勝機に酔いしれて最高の高揚。
今まではその笑顔にどれほど憤りを感じ葛藤して苦しんだのか。
でも今は・・・その笑顔が高揚すればするほどこちらの心も高揚するのだ。
早く教えろと急く眼差しを静かに見つめ、静かに弾いたのは、
「最後に一つ・・・・・・何で私を選んだの?」
勿論、雨月君がきっかけだと分かっている。
それでも、その執拗さと悪質さと執着には他に理由があった気がする。