だから何ですか?Ⅲ




タタンッと実行のタイピング音が響き、視界に捉えている横顔の口元の弧がツラリと半円を描いて画面に食い入る。


でも・・・一瞬。



「っ・・・なんだ・・・なんだっ!?」



ああ、

この瞬間。



「っ・・・どうなってる!?なんだっ!!」



笑みを浮かべたのは一瞬で、すぐにめまぐるしく始まった目の前の事態に狼狽え始める姿は滑稽だ。


必死にどうにかしようとキーボードを叩きマウスを弄って。


それでもどうにも止まらぬ事態にようやくその意識が私に向いた。



「何をした!?」



まるでさっきの追及の真逆の時間だ。


感情露わに詰め寄って、そんな姿にどこまでも冷静に表示が幾重にも増えていくパソコンの画面を見つめてから意識を向けてあげた。



「・・・私は何もしてないよ」


「何をっ、」


「あなたが望むままに要求されるままにパスワードを教えただけ。打ちこんで実行したのはあなたでしょ?」



さらりと言ってのけた言葉に返される表情は憤怒の極致なのか。


今まで彼が私にしてきた事となんら変わらない。


私は何もしていないのだ。



「ああ、でも・・・言い忘れていたかな。このパスワードは一回だけ有効で、2回目に同じパスワードを打ちこんだら防衛システム働いて逆にウィルスが入り込むようになってるの」


「なっ・・・」


「・・・ごめんね?【うっかり】言い忘れていたわ」



ほんの僅か口の端を上げて微笑んで見せる。


そうして微笑む合間にもどんどんと高城のドールハウスは手の施しようがなく崩され続けて落ち込んでいく。



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