だから何ですか?Ⅲ


まずは・・・その手を退けろ。


いつまで往生際が悪いんだ!と、顔を覆っていた手を半ば強引に外して抑え込む。


『やっ』と小さく声を漏らし露わになったのは眉尻を極限まで下げ、目の縁まで、耳の先まで真っ赤になりすでに止めどない涙を頬に広げている亜豆の姿。



ああ、本当・・・理性が吹っ飛びそうだ。


亜豆もこの現状に感情が追い付かないというのなら俺だって少なからず似たような状態。


でも俺の場合は愛おしさの割増。


今までの亜豆凛生でも充分にこれ以上なく好いていた。


なのに思わぬ過去と繋がっていて、その記憶と繋ぎ合わせてしまえばより一層愛おしくて堪らなくなった。


本当に・・・今までの関係は両想いであり片想いであったのだ。


片想いに留めていたストッパーの記憶の溝が埋まった。


つまりはやっと・・・本当の意味で両想いになれるって事だろ?



「凛生・・・」


「っ・・・」



確かめる様にその名を呼んで頬に触れる。


今と過去、両方の姿を確かめ感じるように触れて。


呼ばれた声音に、触れてきた指先に、ビクンっと体を震わせた亜豆が切なげな息を吐きだして、瞬きの拍子に再び膜を張っていた涙を頬に一筋。



「・・・だって・・汲んでください・・・」


「・・・何を?」


「わ・・私・・ずっとずっと・・好きで・・追いかけて」


「うん、」


「ずっと・・・再会できる日を待ち望んでたんです」


「うん、」


「待ち・・望んでたけど・・・・不安もあって・・」


「・・・・不安?」


「約束・・・果たせてなかったから。・・・私の事・・・覚えてないかもしれないとか・・思ったら・・・」



バーカ。


そうそう忘れられるか。


あんなインパクトありすぎる一日を。


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