だから何ですか?Ⅲ





「おっまえ・・・ふざけんなよ!何でいきなりっ______」



・・・・・あれ?


と、思った時には視界が歪む。


ふらりと足元が蛇行して、まるで夢から現実に引き戻されるが如く。


そのまま得た強い衝撃と背中の痛みと。



「痛ってぇ・・・・」



痛みに小さくぼやきながら仰向けに仰ぐのは初めて来た会社の玄関口の屋根か。


しかも・・・霞んでる。


やっぱり夢だったか?


どうして夢と言うのは欲しいものの目の前で覚めてしまうんだ。


そんなもどかしさの葛藤に苛まれている耳に。


カツン、カツン、カツン・・・。


終わりじゃないのか?


諦めおろしかけていた目蓋を開けばやはり視界は霞み気味。


それでも捉えたのは無機質な天井ではなく、俺を無表情で見下ろす姿。


ああ、呆れが僅か?



「相変わらず・・・お馬鹿さんそうで安心しました」



そんな言葉を弾きしゃがみこんできた姿が指先で俺の顔を突いて呆れた様な息を吐いた。


後・・・、



「フフッ、・・・伊万里さんは伊万里さんですね」


「っ・・・おま・・・ふざ・・け・・・」


「『ふざけるな』?さっきも聞きましたよ。それに、何にもふざけてませんけどね」



ふざけてない?


コレが?


人を散々振り回して勝手に消えて。


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