星空電車、恋電車
「さあ乾杯しようか」
頼んでいたビールが届いて軽くグラスを合わせると思ったよりもいい音が響いた。

山下さんは先に料理のオーダーもしていてくれていたのでちょうどいいタイミングで私好みの前菜の盛り合わせが目の前に置かれる。

本当に気が利くイケメン。
何をやってもスマートで何でもそつなくこなしてしまう。

喉が渇いていた私はごくごくっとグラスビールを軽く飲み干してしまう。

「次もビール?」

こくんと頷くと山下さんはすぐにお代わりを頼んでくれた。

それから他愛のない話をしながら料理とお酒を楽しんでいると、程よくアルコールが身体に回って気持ちがよくなる。

「そうだ、広いマンションに引っ越したんですよね。住み心地はどうですか?」

恵美さんから先月ファミリータイプのマンションに引っ越しをしたと聞いている。

「ああ、いいね。公園もスーパーも近いしね」

山下さんの表情が柔らかくなったのは恵美さんのことを思い浮かべたからだろう。私もちょっと二人の生活を想像しちゃう。

「ラブラブですね」

「そうだね」
さらりと言い放つ山下さん。

「うわぁ、堂々とのろけるとはっ」

「で、俺たちよりも千夏ちゃんの方はどうなんだ?恵美が気にしてたよ。頻繁に合コンに行かれるのも心配だけど、男っ気がなんにもないのも心配だって」

ん?と軽く首を傾けて私の顔を見てくる。

「合コンはもう行ってないし、男の人もあれからお腹いっぱいでもう結構って感じですよ」
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