春の魔法
「は!?」と俺は、驚いた顔で美影を見つめた。

「知らないのは、無理ないよね。話してないし」

笑いながら、美影は俺の隣に座る。少しの沈黙が続いた。

「美影…」

俺が美影と話をしようとすると、空から瑠梨さんと氷翠さんが降ってきた。2人は地面に近づくと、ゆっくり着地する。

「氷翠!」

美影は、ベンチから立ち上がり氷翠さんに近寄った。俺も美影の後に続けて、瑠梨さんに近寄った。瑠梨さんは泣いている。

俺は、氷翠さんの方に顔を向ける。氷翠さんは、うつむいていた。前髪で隠れて、氷翠さんの表情が見えない。

「氷翠、どうしたの?」

「…私が魔法を使って、私の過去を見せたんだ」

瑠梨さんは、そう言うと氷翠さんに近寄り、「ごめん」と謝った。

「私、本当は…氷翠が努力してるのは、知っていたんだ。ごめんなさい…私と友達に戻ってください!」

瑠梨さんは、深く頭を下げた。氷翠さんは、困った顔をしながら、美影を見つめている。

「…氷翠の気持ちを素直に言いなよ」

美影は、氷翠さんに向かって微笑んだ。

「…私は…瑠梨と友達に戻りたくない……ごめん」

氷翠さんは、顔を上げると瑠梨さんを見た。氷翠さんの顔は、とても苦しそうで…。

「…だよね。もう友達に戻れないだろうと予想はしていたよ…」

「ごめんなさい…」

「私こそごめんなさい…」

氷翠さんと瑠梨さんは、同時に頭を下げた。

「……次は琥白の番だよ」

美影は俺に近寄ると、俺の耳元でそう呟く。

「そうだな…」

「…氷翠!」

美影は、氷翠さんに向かって走っていく。

「どうしたの?」

「屋上に行こ!」

美影は、魔法を使って、空を飛んだ。氷翠さんは「うん!」と幸せそうな笑顔を浮かべながら、美影の後を追うように、魔法を使い、空を飛ぶ。

2人は、雲一つない青い空に吸い込まれるように魔法学校の方角を目指して飛んで行った。
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