姫は王となる。
「共に…共に、この国を守っていくと誓ったじゃないか…」
再び風に王命を与えた時に、そう誓い合った。
私は、王族であれ護衛たちであれ、国民たちであれ…皆、大切な命なんだ。命を守る優先順位などないと思っている。
「北国との境界線に、護衛兵を数百人規模で連れて行くということは…それだけ、危険だということでしょ?」
風には、命を懸けてまで守るなと言ってある。
けど、きっと風はー…
「…風が護衛兵の責任者として行くなら、私も行く」
「王様っ」
今まで黙って聞いていた老婆が、声を上げた。
「私はこの国の責任者だ。護衛兵たちを危険な場所に晒すなら、私も…」
「花蘭様!!」
ビク!
風が怒鳴るような声で、名前を叫んだ。