姫は王となる。







老婆に、"西国に縁談の話を受けると伝えろ"と命令してから半日が経った頃、西国の王子カイトがやってきた。


今日は、数人の護衛兵を連れてー…




「花蘭女王様、このたび我が王の提案を受け入れてくださると聞き参上致しました」


カイトを応接室に通すと、すぐに目の前に膝まついた。


「あぁ。我が国としても、有り難い話だった」


ソファーに座り、カイトを見下ろしながら言った。



「しかし、こんなにお早く決断なさるとは思ってもみませんでした」

カイトは静かにソファーに座った。



ギシ…

お互い向かい合い、私の後ろには老婆。
カイトの後ろには、2人の護衛兵が付いている。


「この話が北国に伝わるのも時間の問題…決断は早い方がいいだろ?」

「さすがです。…ところで、護衛長の姿が見えないようですが」

カイトが、周りを見回しながら言った。



「…護衛長は万が一に備え、北国との国境に向かった」


「そうですか…だから、決断が早かったのですね」

ピク。

カイトの言葉に、眉が動く。



「どういう意味だ?」


自分を落ち着かせようと、テーブルに置いてあるコーヒーカップに手を伸ばした。


「今朝、北国がこの国を攻めるとある筋から報告がありました。そちらの護衛長はもっと早く、この情報を知っていたのでしょう?だから…」



ガシャン!!



「王様っ!!」






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