お日様のとなり
「イチくん……良かった。ごめんね、ごめんね……」
何度も同じ言葉を繰り返す。
「どうしてみあが謝るの……?」
「だって……だって……」
本当はもっと言わなければいけないことがあったはずなのに。
テントを独り占めしてごめんね。
こんなことになる前に気が付いてあげられなくごめんね。
イチくんが目を覚ましたことが嬉しくて、胸がいっぱいで。
「ごめんね」と声に出すことで精一杯だった。
すっと伸びて来た手のひらが私の頬に触れて、何かをすくった。
イチくんの濡れた指先に違和感を覚える。
「みあ、泣いてたの……?」
「え……?」
自覚はなかった。
ただイチくんに目を覚ましてほしくて必死だった。とても不安だった。
何度も喉の奥が熱くなり、苦しくなる感覚はあったけれど、まさか自分が泣いているなんて考えもしなかった。
目を丸くする私を見上げて、イチくんはふわりと目を細めて。
目元に残っている涙をそっと拭った。
イチくんの指がくすぐったくて、きゅっと目を瞑る。
再び目を開くと、イチくんは笑っていた。