お日様のとなり

「イチくん、どうして笑ってるの……?」

「そりゃあ、俺のための涙だもん」

「どういう意味?」

首を傾げる。

イチくんの言葉は時々、私が理解するのに難しい。

「わからなくていいよ。今はね」

ますます疑問は膨らむばかりだけど、イチくんが無事でいてくれたことが本当に嬉しいから、それだけで私は十分。

もしもイチくんがいなくなってしまったらと思うと……。

……あれ?
なんで私、こんなこと考えてるの……?

でも、だけど。
もしもそうなったとしたら私は……どうなってしまうというんだろう。

「ってゆーか、そのみあの格好なんなの?只事じゃないんだけど……」

イチくんが両手で自分の顔を覆い隠す。

自分の格好を指摘されて、私は改めて下を向く。

足を出すことも止められていたのに、やっぱりこの格好はマズかっただろうか。

でも背に腹は変えられないと真央先輩の言葉を思い出して、着ていたティーシャツもイチくんの身体を冷やすのに使ってしまったんだ。

真央先輩がたまたま水着を持ってきてくれていて良かった。

上下分かれているやつだけど。

ビキニなんて、初めて身に付けた。

まさか服を脱ぐことになろうとは予想だにしていなかったから、下着も濡れていたし、抵抗なく着てしまっていた。

「……非常事態、だったので」

「だからってティーシャツ脱ぐとか……今度は俺の心臓が非常事態で悲鳴上げてるんだけど」

「見苦しいものをお見せして、申し訳ない」

「や、むしろお礼を言いたいというか」

「え?」

「いや、やっぱ今のナシ」

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