お日様のとなり
真央先輩とイチくんの追いかけっこが始まり、隣にいる森園先輩はその様子を苦笑いで見つめている。
この人たちって、いつもこんな感じなのだろうか。
「森園先輩、そっちの袋は何が入っているんですか?」
ふと森園先輩のもう片方の手に下げられた袋に視線を落とした。
「これはね、後のお楽しみ」
「お楽しみ?」
「海といえばこれだよね」
「?」
私が首を傾げるのに、先輩はくすくすと笑うだけだった。
真上にあった太陽はいつの間にか傾いていて、静かに漂う海は仄かにオレンジ色に染まりかけていた。
それからは、私とイチくんは乾いた服に着替えて、先輩2人が買ってきてくれたジュースやお菓子をみんなで食べた。
楽しかった時間はあっという間に過ぎていく。
荷物を纏めテントを畳むとそこにあるのは砂浜だけになって、寂しさが一段と増すような気がした。
もう帰るんだ。
そう思った時。
「じゃあ、そろそろ始めようか」
「そうだね。イッチー向こうでバケツに水汲んできて」
「うぃーす」
3人が手際良く行動を始めるのに、私はわけが分からずその場に立ち尽くす。
そんな私を見て、真央先輩と森園先輩は顔を見合わせて笑っていた。