極上御曹司に求愛されています

今日、アマザンで撮った写真も、そのひとつだ。
悠生が芹花とこうして何度も会い、ブライダルフェアにまで連れて来てくれた意味は、芹花への謝罪。
芹花はそのことをちゃんとわかっていた、はずなのに。
いざ悠生の口から『今日来た目的は達成できた』とアマザンに来た理由を聞かされて、勝手に傷つき落ち込んだ。
おまけにキスまで。
それは、恋人らしい写真を撮るために距離を縮めようと考えてキスをしたのだろうと、芹花は思っている。
それ以外、理由が思いつかない。

「今日の写真で十分です。ただでさえ私の恋人があの木島悠生だと知られたら大騒ぎ間違いなしなのに、ウェディングドレスの写真なんて送ったら、それこそ地元に強制的に呼び戻されて尋問されます。だから、写真のために気を使って連れ出してくれなくても大丈夫です」
 
相変わらず芹花の肩に顔を埋めたままの悠生に、感謝の思いを込めてそう言った。
本心では、まだまだ二人きりの時間を過ごしたいが、これ以上悠生に迷惑をかけるわけにもいかない。
スマホの代金以上のものを、悠生はとっくに提供してくれているのだから。
その時、悠生のくぐもった声が聞こえた。

「……俺は、そうは思わないけどな」



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