極上御曹司に求愛されています
作品を見る木島を意識してしまい、芹花は次第に居心地が悪くなる。
面識のない人に自分のイラスト集を見てもらえる嬉しさと恥ずかしさ。
そして、ようやくこみあげてきた幸せ。
芹花そっちのけで事務所の人や出版社の人たちが先頭に立ち制作を進めてきたこともあり、なかなか実感がわいてこなかった。
けれど、こうして熱心にイラスト集を見ている木島の姿を目の前にして、いよいよ自分のイラスト集が発売されるのだと実感する。
それだけでなく、自分の作品を楽しんでいる人が本当にいるのだと知って、目の奥が熱くなった。
「お待たせ。そのイラスト集のハンバーグもおいしそうだけど、こちらも負けてないわよ。熱いうちに召し上がれ」
奥から出てきた千奈美が、ハンバーグを木島の目の前に置いた。
「ゆっくり味わって食べてね」
「ありがとうございます。久しぶりのハンバーグ、うまそうだな」
木島はうきうきとした表情でシャツの袖をめくり、ナイフとフォークを手にした。
「うまい。肉汁がこぼれるのがもったいないくらいうまい」
ハンバーグを頬張る木島の横顔につられ、芹花も再び食べ始める。
量が多いにも関わらず、トマトソースの酸味がいいアクセントになり、付け合わせのポテトサラダとともに、あっという間に完食した。
芹花がひと息つき、水を飲んでいると、ひたすらハンバーグに夢中になっていた木島もキレイに食べ終えた。