極上御曹司に求愛されています
口に残る熱を我慢しながら睨むように目を細めると、その顔すら楽しむように木島の笑い声が響く。
「そんな顔して睨んでも、可愛いだけだぞ」
「な、なにを言って」
普段言われ慣れていない言葉に芹花はあわあわと顔を赤くし、女性が喜ぶ言葉をスラスラ口にする木島に、少しガッカリした。
けれど、これだけ容姿が整っていれば当然かもしれない。
芹花は気を取り直して木島を見る。
すると、木島はコーヒーと一緒に用意されていたアイスをスプーンに乗せ、芹花の口もとに寄せた。
「アイスで口の中を冷やせば? ほら、あーん」
芹花の目の前でスプーンを揺らす木島は真面目な顔を装いつつも、恥ずかしくて顔を赤くする芹花を面白がっている。
芹花は木島の顔とアイスを交互に見ながらどうしようと困るが、口の中に残る熱のわずらわしさとおいしそうなバニラアイスを目の前にすれば、答えは決まっている。
「じゃあ、いただきます」
芹花は控え目な口調でそう言って、アイスだけに集中しながらぱくりと口にした。
その途端口の中に甘さと冷たさが広がり、火傷などあっという間に忘れてしまう。
「んー。おいしい」
目を閉じて味わう芹花を、木島は優しい目で見つめた。