極上御曹司に求愛されています
ショートカットの艶のある黒髪。
二重瞼の瞳はくりくりしていて薄化粧のせいか、学生と言っても通じる。
派手ではないが、落ち着いた愛らしさと明るい笑顔は周囲の目を惹きつける。
木島もその笑顔に惹きつけられた一人だ。
店に入った途端、カウンターに座る芹花が目に入り、その優しいたたずまいと星野たちと楽し気に話す横顔から目が離せなくなった。
以前から気になっていた黒板メニューの絵を描いていると聞けば、尚更だ。
「可愛いな」
思わず口を衝いて出たような言葉に、木島は照れる様子もない。
一方、アイスを堪能していた芹花は、木島のにこやかな笑顔に、今のは聞き間違いかと首をかしげた。そして再びアイスを乗せたスプーンが目の前に現れると、誘われるように口を開き、アイスを口にした。
さっきよりもアイスの量が多かったのか口の中がアイスで溢れてしまう。
「……んっ、おいしい、けど」
どうしてこんなにたくさん食べさせるんだと、芹花が困った顔を見せるが、すぐにアイスは溶け、彼女は落ち着きを取り戻す。
ホッとした芹花を、木島は楽しそうに見つめた。
「わざと?」
芹花は眉を下げ、問いかける。
きっと、大きな口を開けてアイスを食べる芹花を見て楽しんでいたに違いない。
悔しくなった芹花は、自分のアイスを引き寄せると、スプーンに山盛りのアイスを乗せ、木島の目の前に差し出した。
「お礼です。はい、どうぞ。あーん」
木島と同じようにスプーンを目の前で揺らしてみるが、今にもスプーンからアイスがこぼれ落ちそうだ。
こんなに調った見た目の男性が、まさか自分の手からアイスを食べることはないだろうと、芹花はにっこり笑った。
「大きく口を開いて、キレイに食べてくださいね」
軽やかな口調の芹花に、木島は「じゃ、遠慮なく」と応じると、スプーンを持つ芹花の手首をぐっと掴んだ。