極上御曹司に求愛されています
「どうしてわざと撮られたの?」
芹花は悠生の胸から体を起こし、問いかけた。
芹花との写真が週刊誌に載ると知ったうえで、どうして楓との写真を撮らせたのだろう。
悠生が二股をかけていると世間に知らせるようなもので、展開次第では悠生が今後木島グループの中で仕事をするにも支障が出てくるかもしれない。
不安を覚え、戸惑う芹花に、緑が朗らかに声をかけた。
「芹花さん、大丈夫よ。来年の選挙が終わったらすぐにあなたたちの婚約発表をすることになってるし、それまではマスコミに気づかれないようにお忍びデートを楽しめばいいわ。日本がダメなら海外に行けばいいし。あ、そんな時プライベートジェットを使うと目立っちゃうからダメね。変装して民間機で移動するのもドキドキして楽しいかも。ねえ成市さん、私たちもお忍びデートをしましょうよ」
きゃっきゃとはしゃぎながら、緑は手を叩いて喜ぶが、いよいよ怒りの沸点に達しようとしている悠生はわなわなと震えている。
「緑、いいから黙っていなさい。話の腰を折ってどうする。悠生は爆発寸前だし、芹花さんだって言葉を失っているぞ」
成市の申し訳なさそうな声に、芹花は控えめに首を横に振った。
緑の暴走にも慣れつつある。
話し好きの明るい社長夫人だと思えば、彼女の話も楽しめる。
「でも、選挙ってなんの選挙ですか? 会社で大きな組織変更でもあるんですか?」
法律事務所という、特殊な職場で働いている芹花には、一般企業の仕組みはよくわからない。
選挙とはいったいなんなのか、興味もある。
すると、悠生が口を開いた。
「選挙は選挙だ。国会議員を選ぶ大切な選挙。芹花だって投票に行くだろ?」
「え、その選挙? それがどうして婚約発表に関係するの?」
悠生は成市や愼哉と顔を見合わせ、覚悟を決めたように小さく頷いた。
「〝生方隼人〟という国会議員を、知ってるか?」
悠生から尋ねられた芹花は、コクコクと頷いた。
「知ってます。だって、悠生さんやうちの慧太先生が取材された特集記事に、並んで載っていたから」