極上御曹司に求愛されています
過去に悠生と付き合っていた楓のことを、木島家の面々が知っているのは当然だ。
おまけにあれだけの有名人となれば、それを望まなくとも悠生と別れたあとも楓のことを見聞きする機会は多いだろう。
だから、楓が今生方隼人と付き合っていると知っていても不思議ではないと、頭ではわかるけれど。
なんだか、嫌だ。
芹花はどっと落ち込んだ。
その感情が嫉妬からくるものだとわかっていても、芹花の心は無駄に上下する。
楓は今、生方隼人と付き合っているとわかっていても、やはり悠生の元恋人であった彼女に、やきもきしてしまうのだ。
「このことを知ってるのはほんの一部の人間だ。楓の事務所のスタッフの中でも社長とマネージャーしか知らないトップシークレット。もしもばれたら来年の選挙に大きく影響するだろうし、楓も、夢だったフランスでの仕事がようやく軌道に乗ってきたところだ。恋愛スクープやらの犠牲になって、仕事に影響が出るのを怖がってる」
芹花は、華やかな世界で生きるモデルと、スキャンダルなど命取りになる政治家が付き合っていると聞いてもしっくりとこなかったが、面倒くさそうな声音ながらも楓を心配している悠生の言葉に、これは本当のことだと納得する。
「美男美女か……」
戸惑いながらも楓と生方のことを理解した芹花に、悠生はひとまず安心した。
自ら撮らせたとはいえ、なにも事情を知らない芹花が見て誤解しないわけがないのだ。
せっかく気持ちを通わせたというのに気が気ではなかった。
その時、芹花の様子を見ていた成市が、ゆっくりと口を開いた。