極上御曹司に求愛されています
静かな面持ちで話を聞く芹花に、成市は再び口を開いた。
「その生方さんが唯一思い通りにできないのが、孫の隼人君なんだよ」
やれやれとばかりに苦笑した成市は、悠生と愼哉に順に視線を向けた。
「うちも似たようなものだがな。惚れた女を手に入れることに重きを置いて、他は後回しだ」
「それは父さんに似たっていうことでしょう。というより、木島家の男の宿命だと、わかっているはずです」
それまで口を閉じていた愼哉の声が響いた。
眼鏡越しに見える目は楽し気に細められていて、芹花は目を疑った。
変わらず落ち着き払っているが、その手は隣に座る千春の膝の上にある。
千春は愼哉に近づくと、にっこりと笑って愼哉の腕にしがみついた。
「え……ここでそんなことしていいの?」
芹花は、この場の空気を読むことなく愼哉の腕にぎゅっとしがみつく千春に驚いた。
木島グループを今後率いていく愼哉の妻であり、現社長の義父と義母と同席するというのにジーンズとラフなセーターという服装にも驚いたが、愼哉の腕に頬をすりすりしている幸せそうな姿からも目が離せない。
愼哉がそれを拒むこともない。
立場にふさわしい落ち着いた物腰と、滅多な事では動じないだろう冷静な眼差しからは想像できない。
「……でも、羨ましい」
幸せそうに愼哉を見つめる千春の笑顔はあまりにもキレイだ。
無意識に悠生に視線を向ければ、きっと芹花と同じ気持ちだろう表情で、芹花を見ていた。