極上御曹司に求愛されています

そんな矢先、芹花と悠生の写真が週刊誌に載ることがわかった。
楓と恋人同士であると匂わせる計画がダメになるかもしれないと焦り、慌てて楓と二人でマンションを出る写真を撮らせた。
腹を括った楓がそれを楽しむことに決め、撮られる角度まで綿密に考えていたのには呆れたが、その計画はうまくいった。
今のところ、生方隼人のことはマスコミにばれていないし、彼はすぐに引っ越すことになっている。
あとは、傷ついているに違いない芹花をいたわり、大切にするだけなのだが。
芹花は悠生が想像していた以上に楓を意識しているのか、弱々しくはかない。
悠生の説明に納得しながらも、これから約半年、悠生が楓と恋人同士であると世間に匂わせることに傷ついているのだ。 
今も楓には敵わないと落ち込んでいる。
悠生は芹花に申し訳ないと思いながらも、嫉妬する芹花がかわいく、いつも以上に愛しくて仕方がない。

「芹花はもう、一般人というわけにはいかないと思うぞ。イラスト集の作者としてプロフィールを公開したし、顔写真もHPでアップしてるから、追いかけられる可能性は高い」
「それは、そうだけど。イラスト集が店頭に並んでしばらく経てば、私のことなんて忘れられると思う。本業は弁護士事務所の事務職だから」
 
当然だとばかりにそう言った芹花に、悠生は「うーん」と悩む。

「そういう意味では、俺も単なる銀行員だから、マスコミに追いかけられる理由はないんだけどな。芹花や楓のように、取り立てて秀でた才能もないし、自慢できるものもない。親から受け継ぐ血筋と財産と、この見た目。それだけだ。なにひとつ自分で努力して手に入れたものはない」
 
決して投げやりな口調ではないが、これまで何度もそう考えてきたのだろうあきらめのようなものが感じられる。


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