極上御曹司に求愛されています

「今も、貸したまま悠生さんが戻ってこないかもしれないって、不安だけど。でも、仕方がないってわかってるから」
「芹花が不安になることはないんだ。楓とは絶対に何も起こらないから、心配しなくていい」
 
次々と思いを口にする芹花の言葉を遮るように、悠生の声が響いた。

「大丈夫だと言って、謝ることしかできないけど、とにかく信じて欲しい。俺は芹花を裏切らないし、芹花が俺から離れることを認めるつもりもない」

〝俺は裏切らない〟
 
その言葉だけがやたらが大きく聞こえたのは気のせいだろうかと芹花は思ったが、ぶれることのない悠生の目を見れば、彼の真意が読み取れた。
修と自分は違うと伝えたいのだろう。
そう理解した途端、芹花の心は何故か落ち着いた。
楓と恋人の振りをすることを断らなかったのも、彼の優しさからに違いないとも思えた。
木島グループや生方隼人の再選を考えて受け入れたと口では言っていても、楓への情が悠生を動かしたのだ。
もちろん、別れた恋人にそんな優しさを見せられれば嫉妬するが、人としての温かさと大きさを知って、芹花は確信する。
悠生が裏切ることはないと。

「……すごく偉そう」
 
悠生の強気な口調に、芹花はくすりと笑った。
けれど、作り笑顔を浮かべて芹花の顔色をうかがうよりも、よっぽど格好いい。
悠生に愛されていると実感した余裕なのか、芹花の表情は柔らかい。

「あ、こういうのってどうかな」
 
芹花はふと思いついたことに、ニヤリと笑った。

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