極上御曹司に求愛されています
間髪入れず抱き返した悠生の手が、芹花の背中を軽く叩く。
芹花は、悠生の首に唇を当てながら、今ようやく体温がしっかりと交わった気がした。
遮るものなく体温を感じた時よりも、服越しに与えられる今の方が温かいと感じ、おかしくなる。
悠生にも悩みはあるというのに、決して顔には出さず芹花を気遣い愛してくれる。
「大好き……。早く半年が過ぎればいいのに」
芹花の吐息交じりの言葉に、悠生は満足そうに笑った。
「芹花のイラスト集が発売されて、サイン会もあるし、半年なんてあっという間だ。楓も生方さんとの結婚までにフランスで結果を残すって張り切ってる。俺も……腹を括るべきだな」
「腹を括る? 悠生さん、何か始めるの?」
「ん? いや。ただ……そろそろ、本当の意味で兄さんをサポートするべきだな、と」
悠生の呟きに反応した芹花の頭を、悠生はすぐに自分の肩に戻した。
「なんでもない。まあ、芹花が心配することは、なにもないから安心しろ」
「うん……」
芹花は早口で答える悠生に違和感を覚えたが、頭をくしゃくしゃと撫でられて笑い声を上げた。
「半年たったらすぐに婚約発表するから」
「え、記者発表? それって私も一緒にするってこと?」
「他に誰がいるんだよ」
悠生はくるりと笑った。
「私が記者発表って、信じられない」
「当然だろ? 木島グループの御曹司の結婚だからな、ちゃんと発表しておかないと、あとあと追われて面倒ってのは建前で、俺が芹花を自慢して見せびらかしたくてたまらないんだ」
「私なんて見せびらかすほどでもないけど……でも、私も悠生さんのこと、自慢したいかも」
芹花はそう言った途端照れて「きゃー。なんてことを言ってるんだろ」といっそう強く悠生にしがみつき体をバタバタさせた。
体は熱く鼓動は激しく脈打っている。
「あ、あの、いいことを思いつきました」
芹花は照れくささを隠すように大きな声を上げると、赤い顔を悠生に向けた。
「どうした?」
へへっと笑う芹花を、悠生は目を細めて見つめた。
「あの、結局のところ、生方隼人さんが来年の選挙で再選すればめでたしめでたしなんですよね?」
「そうだな。再選させるための計画だから。だけど、それがどうした?」
芹花の問いに、悠生は訝し気に答えた。