極上御曹司に求愛されています
「だったら、私も生方さんの選挙応援をしようかなと思うんです。きっとHPも持ってるでしょうから、イラストで政策をわかりやすく紹介したり、ポスター作りのお手伝いとか。お手伝いして、再選に向けて応援します」
芹花は自信ありげにそう言って頷くが、悠生は眉を寄せ大きなため息を吐いた。
「芹花がこの計画に前向きになってくれたのは嬉しいけど。イラスト集を出せば一般人とは違う立場に立つ。それに、弁護士事務所で働いているんだ、一つの政党に肩入れするようなことは控えないとまずい」
「……え、政党ではなくて、生方隼人さんを応援するんですけど?」
きょとんと動きを止めた芹花に、悠生は天井を見上げた。
芹花の気持ちは理解できるし、悠生との未来を考えて積極的に動こうとしているのもよくわかるのだが、これはまずいだろうと、悠生は芹花の顔を見つめた。
「芹花はいずれ木島家に嫁ぐんだ、ひとりの政治家への応援は控えてほしい」
「そういうものなの? え、じゃあ、選挙で生方さんに投票するのもだめなの?」
思いのほか厳しい口調で諭す悠生に、芹花は気まずげに問いかけた。
「いや、誰に投票するのかは芹花の自由だ。だからそこまで口は出さないけど、誰を応援しているのかは口に出さないようにしてくれ」
「わかった。じゃあ、私の一票はこっそりと生方さんに、入れることにする」
まだ腑に落ちないながらもそう言った芹花に、悠生は「あ」と呟いた。
「生方隼人の地元はこのあたりじゃないんだ。関西だったはずだから、芹花は投票できない」
悠生はくくっと笑った。
「そんな、投票もできないなんて」
「残念だったな。だけど、何もなければ再選されるのは間違いないし、心配することはない」
悠生は膨らんだ芹花の頬を、指先で優しく突いた。
「そんなにあのオトコのことが気になるのか?」
「ううん、そうじゃなくて、絶対に再選してもらわないと悠生さんと楓さんの努力も無駄になるし……」
投票できないのがよっぽど残念なのか、芹花は口ごもり俯いた。
「そっか。芹花は本当に優しいな。だけど他のオトコを応援するなんて、俺はかなりムカついた」
「え、ムカつくって、え?」
不意に悠生は体をくるりと反転し、芹花の体を組み敷いた。
そして芹花の体をカーペットに押さえつけ、唇を重ねる。
「ん……ゆ、悠生さん」
悠生の舌が芹花の唇を割り、強引に動き回る。
「ちょっと……ん」
突然のことに抵抗しかけた芹花だが、悠生の体の重みに心地よさを覚えた途端、両手を伸ばし悠生の首にしがみついた。
自分からも舌を差し出して悠生の熱を探せば、低い声をもらしながら、悠生がそれに応える。
カーペットの上で隙間なく体を密着させて抱き合う二人を、明るい月の光が照らしている。
二人の甘い吐息と、キスを交わす濡れた音が、まだ新しい部屋に一晩中響いていた。