極上御曹司に求愛されています
『今日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まず初めに申し上げますが、週刊誌二誌に掲載された、息子木島悠生の記事については広報から出したコメントがすべてですので、この会見では一切申し上げることも、質問を受けることもありません』
きっぱりとした成市の言葉に会場はざわめき、不満を口にする記者もいたが、成市は言葉を続けた。
『今日お集まりいただいたのは、木島グループの今後の経営体制についてご報告することがあるからです』
「え、経営体制?」
成市の言葉に、芹花は三井と顔を見合わせた。
「木島グループの経営は、良好でしたよね?」
芹花の問いに、三井は軽く頷いた。
「ああ、堅実な経営で業績を上げている優良企業だ。数字に問題はないはずだけど、なんの話だろうな。もしかしたら、いよいよ世代交代か?」
芹花は画面に並んで映る悠生と愼哉を見た。相変わらずうっすら笑顔を浮かべている悠生と、これもまた相変わらずのクールな面持ちで正面を見据えている愼哉。
「現社長は近い将来引退して、奥さんをひとり占めして旅行に行きたいって言ってたけど、早速か?」
それはないだろうと口にしながら三井は笑うが、芹花は冗談ではないかもしれないと苦笑した。
ひとり占めしたいとは、さすが親子、悠生も同じような言葉を昨夜何度も言っていた。
「世代交代だとすれば、愼哉さんが後継者として指名されるんでしょうね」
「だろうな。長男として以前から重要なポストに就いていたし、手堅く仕事を進める優秀なオトコだと聞いている」
その通りだと芹花も納得だ。
後継者としての責任を果たすための努力は半端なものではなく、プライベートなどないも同然の毎日。
ピアニストになる夢を諦めただけでなく、今では滅多に弾くこともないらしい。
人生のすべてを木島グループに捧げているような愼哉が唯一、親戚からの反対の声に耳を貸さず千春と結婚したのは、木島のオトコとして当然のこと。
「いよいよ愼哉さんが社長かな……。ということは、千春さんが社長夫人か」
芹花は、ジーンズ姿であの豪邸を颯爽と歩き回る千春を思い出し、笑った。
その時、成市が再び口を開いた。