極上御曹司に求愛されています

昨夜の約束通りスマホの機種変更に二人で出向いたのだが、本体の費用をどちらが支払うかで揉めた。
木島は自分が費用を一括で支払うと言い張ったが、芹花はやんわりと、それでいて頑なに断った。
スマホの代金など木島には大した出費ではないのだが、あっさりと断られ、苦笑するしかなかった。
芹花にしてみれば、一度会っただけの男性にそこまでしてもらうのは申し訳なく、断るのは当然のこと。
たとえ彼が、大企業を幾つも経営し経済界に大きな力を持つ木島グループの創業家の直系という恵まれた生まれだとしても、それは今回のことには関係のないことだ。
昨夜千奈美から木島の素性を聞いて驚いたのはたしかだが、それとスマホの件は別の話だ。
一方木島は、彼の財布を当てにしない芹花に、新鮮な思いを抱いた。
木島悠生の顔と名前は世間にも知られていて、財閥系の大企業グループの御曹司との未来を夢見る女性たちから常に狙われている。
学生時代はそんな自分の立場を軽く考え、女性と楽しむこともあったが、いざ仕事に就けば、今後自分が背負わなくてはならない重責と、グループ内の社員やその家族たちへの責任を知って身体は震えた。




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