極上御曹司に求愛されています

「木島さんも、強いんですね。結構飲んでるけど顔色がちっとも変わらないです」

木島はテーブルの端に置かれている徳利を手に取り、芹花と自分のグラスに注いだ。
トクトクと小気味いい音が部屋に響き、グラスに酒が満たされる。

「おいしい料理をおいしそうに食べて、酒もきちんと楽しめるんだな。酒は飲めないって言う女が多いのに珍しいな」
「うーん。 おいしいものは大好きだし、ありがたいことにお酒も強いから人生の楽しみを取りこぼすことなく満喫してます」

芹花は中身をこぼさないよう慎重にグラスを手に取った。

「いただきます」

芹花は今度は一気にあおることなくゆっくりと酒のうまさを堪能した。

「結構辛口ですね。ん。おいしい」

味わうように目を閉じ、口の中に広がる豊潤で切れのある辛さを感じる。
昨日出会って以来ずっと堅い表情を浮かべ、緊張感が抜けきらない様子を見せていた芹花だが、ぎこちなさが消えつつある。
木島は再び箸を手に料理を口にする芹花を、優しく見ている。
酒の力があるとはいえ、楽しそうに食事をすすめる芹花から目が離せない。

「ここにはよく来るんですか?」

芹花は問いかけた。
世界的に有名なランキングで星をひとつ獲得しているらしい有名店。
なじみの客を優先し、紹介がなければなかなか予約がとれないことも広く知られている。
おいしいものが好きだとはいえ、地方出身で一人暮らしの芹花には縁のない店だ。

「木島グループの御曹司なんですよね? やっぱり子供のころからこういう店には慣れてるんでしょうね」

芹花はそう言って、伊勢海老のお造りのおいしさに目を細めた。







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