極上御曹司に求愛されています

「だけど、出張で海外に行っていた父親が一日早くその日に帰ってくるって聞いて、卒業式には行かないって言い出したんだ」
「え? 行かないってどうして?」
「母にとって、まずは愛する旦那様なんだ。その旦那様が成田に着く時刻と息子の卒業式の時刻が重なったら、迷わず旦那様を迎えに行くんだ」
「は? わざわざ迎えに行かなくても、秘書さんとかが成田まで行くでしょう? それに、息子の卒業式は一度きりなのに」

驚く芹花に、木島も笑いながら頷く。

「そういう世間一般の当たり前が当たり前じゃないんだ。父親が大好きで、本当なら海外にもついて行きたいって今でもごねるし」
「はあ……」
「父親も父親でさ、海外でも国内でも出張に愛する妻を連れて行きたいのはやまやまなんだけど、自分以外の人間に大切な宝物を見せるのは嫌だって言って、家に閉じ込めてるんだ」
「お母さん、愛されてるんですね、すごい……」

さらりと話す木島に、芹花はそれ以上言葉を続けることができない。
箸を手に木島を見つめた。




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