極上御曹司に求愛されています

「夫婦の仲が良すぎて、木島さんとお兄さんは照れくさくて仕方がなかったですよね?」
「え? 照れくさい?」

芹花の言葉に、木島が意外そうな表情を浮かべた。
たしかにいつまでも互いへの強い愛情を隠そうとしない両親の側にいると照れくさくて仕方がないのだが、そんな気持ちを見抜かれるのは初めてだ。
家族の話をすれば、大抵の人は両親の子供たちへの愛情が希薄だったと思い込み、木島と兄に同情に似た感情を抱くのだ。

「実はうちの両親もそうなんですよね。あ、木島家のように海外や料亭なんてまったくなかったんですけど。両親は家でも仲良く二人で家事をこなすし職場も一緒。それは経済的に共働きしないと生活できないから仕方ないんですけど、片時も離れたくなくて同じ職場で働いてるんです」

芹花は残っていた酒を味わった。
さっぱりとした辛さが口の中に広がり、幸せな気持ちになる。

「本当においしい。両親にも飲ませてあげたい。でも、晩酌は夫婦二人で楽しむからって、滅多に仲間に入れてもらえないからなあ」

拗ねた声と表情ながらも、どこか楽し気な芹花につられて、木島も小さく笑った。






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