極上御曹司に求愛されています

「仲間外れ? お互い、面倒な親を持って苦労するな」
「といっても、両親のおかげで大学にも通えたし、感謝してるんです。それに、妹は音大に行きたがってるからまだまだ働かないといけなくて」

芹花の両親は経済的な余裕があるわけではないのに、奨学金を利用せずに芹花を大学に通わせてくれた。
妹の杏美にも、芹花と同様に望む未来を用意してあげたいと言って頑張っている。
ふと、芹花は両親が杏実のピアノの才能に気づいて以来、彼女にかかりきりになっている姿を思い出して黙り込んだ。
けれど、胸に巣食う黒い感情をすぐに押しやり笑顔を浮かべる。

「いつか、このお店にも両親を連れてきてあげたいな」

ぽつり呟いた芹花を、木島は柔らかな表情を浮かべて見つめた。

「きっと喜ぶよ。うちの両親なんて、二人でコンビニに行くだけではしゃいでるくらいだからな」
「コンビニで? でも、大企業の社長さんともなれば忙しくてコンビニに行くのも大変そう」
「たしかに。護衛を連れて歩くのも億劫だから滅多に行かないけど」
「護衛……。そっか、そんな世界なんだ。想像もつかない」
「そうかもな」
「だけど、鯛やら伊勢海老。松坂牛まであるし。今日は一年分の食の運を使い果たした気分」




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